店舗の施工事例 case study
銀座 会員制バー|コンクリートの躯体から、和の静けさをまとう大人の隠れ家へ
Information
基本情報
| 間取り | バーフロア・前室・トイレ(スケルトン区画) |
|---|---|
| テイスト | 和モダン|左官塗り×木格子 |
| 建物 | 店舗(新築ビル・テナント区画) |
| 家族構成 | — |
スケルトンの新築区画を、アートとワインを楽しむ会員制バーに

飲食店の設計・デザイン・施工の事例をご紹介します。
CGパースでの意匠検討から、保健所・消防との協議、左官のアーチや玉砂利の前室といった施工、細部の造作まで。
オープンまでの数ヶ月間、現場で重ねた「デザイン・設計・施工」の記録です。
ご相談のきっかけ|「鍵の引き渡しはもうすぐ。オープン日も決まっています」
ご相談をいただいたのは、新築ビルの鍵引き渡しを目前に控えたタイミングでした。
区画はコンクリート躯体がそのまま現れたスケルトン状態。
ここに、ワインとアートを一緒に楽しめる会員制バーをつくりたい——そしてオープン目標日はすでに決まっている、というご依頼です。


飲食店の内装は、デザインだけでは完結しません。
保健所・消防などの行政協議を、設計と同時並行で進める必要があります。
nicomadeでは、コンセプト設計からCGパース、実施設計、行政対応、施工までをワンストップでお引き受けしました。
プロジェクトの進め方
ご契約後は、次の4つのフェーズで進行しました。
- ①コンセプト設計(2〜3週間):ターゲット設定、カウンター構成、ワインセラーの配置計画、ラフレイアウトの作成。店舗全体の方向性をここで確定
- ②基本設計(3〜4週間):平面図・展開図・照明計画・仕上材の選定。並行して厨房機器計画、空調・電気容量の確認、消防と保健所への事前相談
- ③実施設計(2週間):造作カウンター詳細図、電気設備図、給排水設備図、天井伏図など、工事に必要な詳細図面一式。同時に施工・厨房機器・家具の見積を取得
- ④工事・造作納品(約6週間):内装工事、設備工事、造作家具工事、照明・厨房機器の設置


コンセプト|扉を開けた瞬間、街の喧騒がやわらいでいく
扉を開けた瞬間、街の喧騒がやわらいでいく。
木の質感、土壁の陰影、ひと筋の灯り。
余白のある空間に、選び抜かれた一本と、作家のアートがそっと寄り添う。
飲むためだけでも、観るためだけでもなく。
その日の気分で、好きな一杯と作品に出あえる。
—— 大人のための居場所を。
ワインバーであると同時に、作家のアートを展示するギャラリーでもある。
だからこそ壁は「余白」として整え、照明はアートと手元だけを静かに照らす。
この方針が、後述するすべてのディテールの判断基準になりました。

CGパースでの検討|「狭く見える」の不安を、工事前に潰しきる
nicomadeはCG制作を祖業とする会社です。
この案件でも、工事前にフォトリアルなCGパースを制作し、お客様と何往復も修正のキャッチボールを重ねました。
修正のやり取りは、細部に至るまで具体的でした。たとえば——
- 床の色:「もう少しダークに」→ タイル2品番で塗り分けたパースを2案制作し、比較検討
- 壁の白:ただの白ではなく、日塗工番号(05-90A)まで指定した左官調の水性マット塗装。トイレだけ一段落ち着いた色(19-85B)に塗り分け
- 設備の色:「設備は全部白で」。エアコン・スイッチ・照明レールまでホワイトで統一し、CG上で確認
- 光の量:「もう少し光を弱く」。調光を前提に。

言葉では伝わりにくい「なんとなく違う」を、CGの上で全部潰してから工事に入る。
手戻りのない現場は、この工程がつくります。
メインフロアだけでなく、前室、アーチの廊下、トイレ、造作洗面まで、お客様が体験する景色の連続として検証しました。
現場のこだわり|左官のアーチ、一粒ずつ選ぶ玉砂利
工事期間は約6週間。
コンクリートの躯体に下地を組むところから、造作の細部まで、現場の職人とともに仕上げていきました。


壁の塗り塗装は質感にこだわり、現場で何度も試し塗りを繰り返して色と肌合いを決定。
トイレへ続く開口は左官仕上げのアーチとし、Rの曲線は図面と照らし合わせながら現場で微調整しました。

前室の床は、お客様のこだわりを詰め込んだ玉砂利の洗い出し。
カタログのサンプルだけでは、石の大きさや色の混ざり具合までは分からない。だから近くの資材売り場まで足を運び、実物を見て石を選びました。
現場ではブルーシートに広げ、黒・グレー・茶のバランスを見ながら一粒ずつ選別。洗い出しはモルタルの乾き加減が命で、左官職人がタイミングを見極めて表面を洗い、石の頭だけをそっと覗かせています。


石の調達から運搬、造作家具の搬入まで、段取りはnicomadeが一括で手配。
お客様には仕上がりのこだわりだけに集中していただきました。

照明も、この空間の主役のひとつです。
天井に埋め込んだダクトレール、絞りで配光を調整できるユニバーサルダウンライト、天井の間接照明——すべて調光(一部は調色も)に対応させ、回路を分けて「アートを照らす光」「手元の光」「空間の光」を別々にコントロールできるようにしました。
スイッチ計画だけで何度も図面を引き直した、地味ながら効きどころの仕事です。

主な仕上げ・設備
| 床(フロア・収納) | 石目タイル 298×598、長手方向流し・巾木なし納まり |
| 床(トイレ) | グレーマトリクス レザーフィニッシュ(正方形に成形して配置) |
| 床(前室) | 玉砂利の洗い出し仕上げ |
| 壁・天井 | 水性塗料マット仕上げ(トイレ壁のみ一段濃い色で塗り分け)、天井・収納はクロス |
| 建具 | 造作の木格子引き戸・アーチ開口+既製建具を加工して納めた上吊引違い戸(壁と同色塗装で一体化) |
| 設備 | タンクレストイレ、造作手洗い・造作キッチン、ワインセラー、天井カセット形エアコン(ホワイト) |
| 照明 | 天井埋込ダクトレール+ユニバーサルダウンライト(調光調色・専用ライコン)、天井間接照明、ピクチャーレール |

完成|CGパースは、どこまで現実になったか
素材の質感や照明の色温度まで、設計段階のCGパースのイメージがほぼそのまま現実になりました。
お客様にとってこれは、「完成してみたら思っていたのと違う」という開業時の大きなリスクを、工事前に取り除けるということでもあります。


昼は木格子越しの柔らかな自然光、夜は調光を絞った灯りとアートを照らすスポットライト。
時間帯によって表情の変わる空間になりました。
木格子と玉砂利の前室、行灯の灯るアーチの廊下、一枚板のカウンター
——CGで検討した景色が、そのまま営業初日を迎えています。


まとめ|デザインと、法規と、現場。全部をひとつの窓口で
スケルトンの躯体から会員制バーが生まれるまでには、CGパースでの意匠の検討、行政協議という見えない仕事、そして現場での納まりの工夫がありました。
これらを別々の会社に頼むと、デザイン会社・設計事務所・施工会社・行政書士の間の調整はすべてお客様の仕事になります。
開業準備で最も忙しい時期に、その負担はあまりに大きい。
nicomadeは、コンセプト設計からCGパース、実施設計、行政対応、施工、家具・設備の選定までをひとつの窓口でお引き受けします。
今回のように「オープン日が先に決まっている」案件でも、決まったところから先行して進める並行設計で、スケジュールから逆算したご提案が可能です。
店舗・オフィス・住宅を問わず、「まだ図面もない状態」からでもご相談ください。
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